イントロダクション
誰もが理由を知らない争いを続ける世界があった。
魔法術士を忌み嫌った者は云う。
「この戦争は魔法術士たちが引き起こしたのだ」
と。 だが、誰もその真偽を知る者はいない。
また、凶暴な魔物に怯える者は云う。
「この戦争は精神体がこの世に在るから終わらないのだ」
と。 けれど、誰もその真偽を知る者はいない。
40年前、世を混乱に陥れた“精神体の暴走”と呼ばれる戦争は、
今や書物の中での出来事に相成ろうとしていた。
忌み嫌われていた魔法術士たちの強大な力は、
世界を発展へと導く力となった。
しかし、争いは終わらない。
規模こそ小さくなったものの、
争いは今も何処かで起こり、続いている。
一体何が引き鉄なのか。
魔法術士か。
精神体か。
否、誰もその理由を知る者はいない。

―――“精神体の暴走”から、40年。
「お前となら、何処へでも行けるような気がしたよ!」
その戦争が起こった国に、1人の青年がいた。
明朗快活なその金髪の青年は、
ある日、
沈着冷静な黒髪の青年に出会う。
何事もない穏かな生活をしていれば出会うこともなかったであろう太陽と月―――。
金髪の青年は生まれ育った小さな町を後にした。


それから、3年の月日が流れた。


「人さがしから物さがしぃ!
モンスター退治からネズミ退治ぃ!
子供の世話からぁ、・・寂しい夜のお供までっ!
どーんな仕事も引き受けます!何でも屋・ヘリオスムーーーーン!!」
「だから長いと何度言ったらわかるんだ」
「あぁ、ムーンをちょっと伸ばし過ぎたか」
「そこじゃない!」
「ぬっ、お前っ、2人で組むぞって決めたその日に俺が徹夜で考えたセールス文句を侮辱する気か!?」
「する」
「酷ぇ!!チーム名には文句言わなかったくせに!!」
「それは妥協と言う」
「嫌なら嫌ってはっきり言えばいいじゃんか!!」
「スケジュールがいっぱいだ、行くぞ」
「無視すんなーーーーーーー!!!!」

これは、2人の何でも屋、ウィン【Helios】とロートス【Moon】がこの世界を生きた、お話。

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